A.1
いいえ、実際の通学は成人後であっても、受験するかどうかなどの決定時に未成年であれば、その時点では共同決定の必要があります。決定時に成人していれば、いずれの親の許可も不要となります。
A.2
子の氏(苗字)を変更する場合は、現行法と同様、子の氏の変更許可を家裁に申立する必要があります。離婚が成立し、仮に、共同親権となった場合、そのままでは、子の氏(戸籍)は婚姻時のままです。新しい氏に変更する手続の申立人は子ども本人なのですが、14歳以下の場合、親が法定代理人として手続をするので、親権の共同行使の対象となります。氏を変更したい場合は、父母共同で申立するか、この手続(特定事項)に関する親権行使者を裁判所に決めてもらうことになります。
改正後は、離婚裁判のなかで、親権や養育費の決定と同時に附帯処分として審理の対象となりました。しかし、離婚後の親権について鋭い対立があり、かつ、監護者も指定しないような場合に子の氏をどうしたらいいのか、家裁に適切に判断できるのか疑問です。
A.3
親権者として対応することになります。
身元引受人は、正式な法的制度でないので、誰がなるのかも決まっていません。少年事件含む刑事事件では、捜査中も最終処分の時も、身柄を解放するときは、身元引受人が必要となることが多いです。指導監督できる立場の人が多く、親族や上司が普通です。
共同親権者が指導監督することにつき、相応しい人物であれば、身元引受人になることが子の利益になると言えそうです。
身元引受人になることが、親の権利なのか義務なのかはっきりしませんが、親権者としての責務という理解も成り立ちうるし、急迫の事情があると考えることもできそうです。
しかし、数時間連絡が取れなかったからといって監護者として不適切とは言えないと思われますので、警察から連れ帰ったまま、それまで一緒に暮らしていた親の元に返さないでいいという理由にはならないと思います。
A.4
Q.3で述べたとおり、身元引受人は法的制度ではなく、法的義務ではないので、強制することもできないし、これを履行しないとしても制裁を受けることはないです。
A.5
再婚相手と共同親権となっている場合は、元配偶者から親権変更はできません。また、親権者が3人になることはありません。公正証書の有無も関係ありません。
養子縁組により親権者である父母が揃っている場合については、親権者変更については、今回改正はありません。親権者の変更は、「子の利益のため必要があると認められる場合」にだけ認められる制度です。
離婚後に養子縁組して、共同親権となっている場合は、元親権者からの親権者変更はできないというのがこれまでの実務です。今後も同様だと思います。これを認めると、単独親権への変更の場合、元親権者と養親という全くの他人が共同親権者となり、また、共同親権への変更の場合、3人の親権者となることになり、いずれも法が想定していません。
A.6
保護命令の要件は、「配偶者からの身体に対する暴力又は生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫(以下この章において「身体に対する暴力等」という。)を受け、更なる身体に対する暴力等により、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」ですから、過去の暴力が立証されず、現在のつきまといだけの場合、保護命令は発令されません。
もっとも、保護命令の対象にはならなくても、ストーカー規制法(ただし、元配偶者に対するストーカーだけです。子に対するつきまとい等は対象外)や迷惑防止条例の対象になる場合もあります。
A.7
DVやストーカーなどの被害者(配偶者からの暴力(DV)、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者で保護の必要性が確認された者)を守るために、加害者(その申出の相手となる者)やその代理人が被害者の居所情報を把握できなくする制度です。具体的には、被害者の住民票や戸籍の附票を閲覧できなくする制度です。民法改正後もこれまでと同様に運用される予定です。
住民基本台帳事務処理要領という総務省の通知で運用されている制度で、もっぱら被害者を保護するためのものです。DVやストーカーの被害を受けたことと今後も支援が必要であることが条件で、警察などの意見を踏まえて、自治体が判断します。有効期間は1年ですが、更新できます。近時は更新事案含め17万人が利用しています。
総務省や法務省の説明では、法改正後も被害者保護のため、支援措置はこれまでと同様に運用されることは確認しています。
A.8
そんなことはありません。
共同親権の下では、子の住むところを決める(居所指定)には、共同で決める必要があります。しかし、現時点では単独親権で、親権者の元で暮らしていたのですから、そこに住むことには正当性があります。離婚後元々近くに住んでいたのに、遠くへ引っ越すという場合、共同親権下の別居親の同意が必要になることはありますが、現在離れて暮らしている場合には、これから子どもの住むところを決めるのは共同で決めるわけですから、あなたが同意しなければ、子の居所を変える必要はありません。